日本物理学会北海道支部 講演会
講演会のアナウンスは支部会員のメーリングリストで行われます。 支部講演会・共催の講演会のお申し込みは、支部役員までご連絡下さい。
支部講演会の過去ログは、右バナーのArchivesからご覧ください。
最近5回分の講演リストを以下に表示します。
2024/05/20 "Metaphotonics and Mie-tronics"
Yuri Kivshar 氏
2024/05/08 「CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究」
神田 朋希 氏
2024/04/12 Can Bose-Einstein condensation occur via a first-order transition?
2024/01/16 「放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系化合物の研究」
田端 千紘 氏
2023/12/26 「FIB微細加工と三次元ベクトル強磁場を用いた物性研究」
木俣 基 氏
Yuri Kivshar 氏
2024/05/08 「CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究」
神田 朋希 氏
2024/04/12 Can Bose-Einstein condensation occur via a first-order transition?
2024/01/16 「放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系化合物の研究」
田端 千紘 氏
2023/12/26 「FIB微細加工と三次元ベクトル強磁場を用いた物性研究」
木俣 基 氏
「有機超伝導体の量子渦糸状態」
佐々木 孝彦 氏
Oct 02, 2003
講演題目: 有機超伝導体の量子渦糸状態
講 師 : 佐々木 孝彦 氏
(東北大学・金属材料研究所・助教授)
日 時 : 平成15年10月2日 (火) 16:30-
場 所 : 北海道大学大学院理学研究科物理学専攻 大学院講義室 理学部 2号館 4階 9号室 (2-4-09)
要 旨 :
酸化物高温超伝導体における渦糸状態の研究により第2種超伝導体の渦糸に関する理解が飛躍的に進歩した.その中でも新しい渦糸相とその相転移が明らかにされてきた.このような渦糸物理は,高温超伝導体にのみ固有ではなくゆらぎの大きい2次元系であれば他の物質系でも統一的に理解,観測されるはずである.さらに新たな物質パラメーターを有する系では新奇な渦糸物理の展開が期待される.有機超伝導体は超伝導転移温度は約10Kと低いが,大きな2次元異方性,低キャリア密度などゆらぎ効果が顕著な系である.また極めてクリーンな電子系を有し,磁気量子振動効果による詳細な電子状態研究が可能な系でもある.このような特徴を有する有機超伝導体の渦糸状態に関する現状をレビューし,最近,我々が見出した「新渦糸状態-量子磁束スラッシュ-」と「渦糸状態での磁気量子振動効果」について紹介する.
世話人 松永 悟明
(mat@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究科
「高輝度放射光による物質科学の最近の進展」
壽榮松 宏仁 氏
Sep 25, 2003
講演題目: 高輝度放射光による物質科学の最近の進展
講 師 : 壽榮松 宏仁 氏
(SPring-8 / JASRI 利用研究促進部門I 部門長)
日 時 : 平成15年9月25日 (火) 16:30-
場 所 : 北海道大学大学院理学研究科物理学専攻 大学院講義室 理学部 2号館(2-11号室)
要 旨 :
第3世代の放射光施設の出現によって、放射光X線による物質科学は種々の分野で著しく発展した。これは、アンデュレーターによる放射光の持つ特性、高強度、高輝度、高並行性および高エネルギー分解能が、従来のX線回折・散乱・分光による測定手法を大きく変身させたことにある。たとえば、電子密度分布決定などの精密構造解析、磁気構造や電子軌道の決定、高分解能非弾性散乱によるフォノン分散関係の測定、X線マイクロビームによる微量元素マッピングなどの顕微計測法の開発など、第3世代光源によって始めて可能となった測定手法による物質科学が急速に発展している。
本講演では、これらSPring-8を中心とする高輝度放射光源による最近の進展を紹介する。
世話人 中原 純一郎
(jun@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究科
"Realization of the FFLO state in CeCoIn5 at ambient pressure: a simple lesson about extreme conditions’ research"
Dr. Stan Tozer
Jul 28, 2003
講演題目: Realization of the FFLO state in CeCoIn5 at ambient pressure: a simple lesson about extreme conditions’ research
講 師 : Dr. Stan Tozer
(The National High Magnetic Field Laboratory Tallahassee, Florida, U.S.A.)
日 時 : 平成15年7月28日 (火) 14:00-15:00
場 所 : 北海道大学大学院理学研究科物理学専攻 大学院講義室 理学部 2号館(2-11号室)
要 旨 :
A brief introduction to recent high pressure transport and magnetization experiments in pulsed and dc magnetic fields and some promising initial results will be followed by a presentation of our ambient pressure studies of the FFLO state recently found in CeCoIn5. This phase was first predicted in 1964 by Fulde & Ferrell and, independently, Larkin & Ovchinnikov. They showed that, in the paramagnetic limit, an applied magnetic field H coupling to the individual electron spins of superconducting Cooper pairs could induce a phase transition from a uniform to a novel, spatially varying superconducting phase. Buzdin and Brison predicted in 1996 that, within this FFLO phase, solutions corresponding to higher Landau level states of the order parameter should occur. I will present heat capacity measurements on the layered structure heavy fermion superconductor CeCoIn5 revealing a phase transition within the standard BCS superconducting state at high field and low temperature for fields parallel to the layers. Within this wedge of phase space, our magnetization measurements display a cascade of first order phase transitions. The observation of steps in the magnetization is a result of orbital quantization of the order parameter and, with the heat capacity measurements, provides the first direct evidence of the existence of the FFLO phase. The work presented is the result of an extensive collaboration funded by an NHMFL In-house research proposal, the State of Florida, the Department of Energy, and the National Science Foundation. I would like to acknowledge my colleagues H.A. Radovan, T.P. Murphy, S.T. Hannahs, E.C. Palm, N.A. Fortune, C. Agosta, I. Mihut, C. Catalin, D. Hall, J. Singleton, and A. Bangura.
世話人 網塚 浩
(amiami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究科
「銅酸化物超伝導体電子状態への新しいアプローチと超伝導機構」
上村 洸 氏
Jun 11, 2003
講演題目: 高温超伝導は過剰ドーピングによって、どのように消えるのか?
講 師 : 上村 洸 氏
(東京理科大学特別顧問・理学部嘱託教授)
日 時 : 平成15年6月11日 (水) 16:00-
場 所 : 北海道大学大学院工学研究科 物理工学系大会議室 A 1-17(A棟1階)
要 旨 :
1986年にBednorz・Mueller両博士が、ランタン系銅酸化物で、転移温度40Kの高温超伝導を発見して以来、超伝導機構について数多くの理論的モデルが提唱されてきたが、未だにはっきりとした機構解明に至っていない。その大きな理由は、銅酸化物では、強い電子相関、反強磁性局所秩序、局所格子歪み、強い電子格子相互作用、不純物或いは酸素欠陥の導入によるキャリア生成などの要素が複雑に絡み合って、固体物理学におけるすべての分野を網羅した洞察と理論的枠組みの構築が必要になるからである。そのため、これまでの多くのモデルでは出発点の電子状態をCuO2面内に限定し、パラメターを導入して実験に合わせることによって、理論を発展させてきた。その結果、銅酸化物の構成要素であるCuO6八面体やCuO5ピラミッドの違いによる超伝導現象の差異を予言することは不可能となる。
本講演では、まずパラメータを用いない第一原理計算で、銅酸化物の電子・スピン状態がどこまで明らかになったかについて話をしたい。この計算では、まわりの格子変形を考慮し、反強磁性局所秩序を構成する局在スピンの原因である電子相関の効果をできるだけ正しく取り入れるために、銅酸化物中の1個のCuO6八面体やCuO5ピラミッドの多電子状態(多重項という)を、第一原理変分計算でできるだけ正確に解くことから出発する。次にCuO6八面体間、あるいはCuO5ピラミッド間の跳び移り相互作用を導入すると、キャリアーは超交換相互作用による反強磁性秩序を壊さないように2種類の軌道(Fig.1のa1g*と b1g軌道)を選択して、反強磁性局所秩序の領域を跳び移り相互作用によりを跳びまわり、その結果、キャリアースピンが局在スピンとスピン1重項的に結合した1A1多重項とフント結合によってスピン3重項的に結合した3B1多重項が交互に現れる金属状態ができることになる。このモデルは、「上村・諏訪モデル(K-Sモデル)」とよばれる。講演の後半では、K-Sモデルに基づいて計算した多電子バンド、フェルミ面の形状、電子エントロピーや電気抵抗・ホール効果、磁化率のホール濃度依存性などの結果を紹介し、伊土・小田グループの実験結果を含む最近の実験結果と比較検討した結果について話をする。最後に、K-Sモデルに基づいて計算したランタン系銅酸化物の超伝導転移温度のホール濃度依存性並びに大きなアイソトープ効果について議論をしたい。
世話人 明楽 浩史
(akera@eng.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院工学研究科
「光励起フォノンスクイージング」
高橋 淳一 氏
Jun 04, 2003
講演題目: 光励起フォノンスクイージング
講 師 : 高橋 淳一 氏
(千歳科学技術大学)
日 時 : 平成15年6月4日 (水) 16:00-
場 所 : 北海道大学大学院理学研究科物理学専攻 大学院講義室 理学部2号館(2-11号室)
要 旨 :
ラマン分光の分野では、交差入射した2波長光によりフォノンを共鳴的に励起し、入射光のアンチストークス側にコヒーレントなラマン光を発生する手法が古くから知られている。我々は、本手法がフォノンを選択的にかつコヒーレントに共鳴励起するのに適した方法であることに注目し、強励起フェムト秒光パルスを用い2次のラマン線を強く励起することで、その構成フォノンをパラメトリックに増幅することができることを見出した。本講演では遷移金属酸化物を用い、ラマン禁制および許容フォノンモードの束縛および非束縛2フォノン状態におけるフォノンスクイージングを検討した結果について述べる。
世話人 中原 純一郎
(jun@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究科