2021 年(1 月~12 月) 北海道支部 活動報告書

Dec 31, 2021

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2021年(1月〜12月)の北海道支部講演会一覧

Dec 31, 2021


日本物理学会北海道支部講演会

2021年(1月~12月)
2.
日時:2021年12月23日(木) 15:00-16:00
場所:北海道大学理学部5号館3-04
共催:第273回エンレイソウの会
講演題目:α-Mnの高圧物性
講師:小林 達生(岡山大学理学部)


要旨:単体金属は一般に単純な結晶構造(bcc, hcp もしくはfcc)をもつ場合が多いが,Mnの常圧・室温における安定相であるα相はunit cellに29個の原子を含む複雑なbcc構造(I-43m)である。Mn原子は結晶学的に異なる4つのサイトからなり,TN = 95 K以下で反強磁性秩序を示す。当研究グループでは,最近,二つの磁気秩序相からなる特徴的な圧力-温度相図を決定した。[1] 圧力誘起磁気秩序相(P > 1.4 GPa)では,小さい自発磁化(~0.02 µB/Mn)が発生しており,それに伴う大きな異常ホール効果を発見した。[2] 今年,高圧下中性子散乱実験を行い,圧力誘起弱強磁性相が強磁性と同じ既約表現をもつ秩序状態であることが明らかになり,ベリー曲率による異常ホール効果であることを強く支持する。弱強磁性相は4.2 GPa で急激に消失するが,そこでは電気抵抗は50 mK < T < 10 Kの広い温度範囲でT5/3 に従い,量子臨界性を示している。これは強磁性ゆらぎを考えたSCR理論で予測された非フェルミ液体的振舞いであり,反強磁性相互作用が支配的と考えられる系で現れていることが興味深い。ダイヤモンドアンビルセルを用いた電気抵抗測定による,超高圧下での超伝導探索についても紹介する。


References
[1] T. Sato et al., JPS Conf. Proc. 30, 011030 (2020)
[2] K. Akiba et al., Phys. Rev. Research 2, 043090 (2020)

世話人:日高宏之
(北海道大学大学院理学研究院物理学部門)


1.
日時:2021年12月15日(水) 14:45-16:15
場所:北海道大学工学部 オープンホール
共催:第272回エンレイソウの会
題目:駆動された量子系と幾何学効果
講師:岡 隆史(東京大学 物性研究所)

要旨:トポロジーに代表される微分幾何学の考え方は、現代の凝縮系物理学において大切な役割を果たしています。 平衡系では、量子状態の幾何学的性質が例えば量子ホール効果などのエキゾチックな現象とどのように関係しているのかは、よく理解されております。一方で、現在は非平衡系、例えば、外場によって駆動された動的な系などの研究も非常に盛んになっています。それらの系においても、幾何学と関係した未知の現象が平衡系と同等かそれ以上に豊富に存在すると考えられますが、その全貌はまだ分かっていません。数ある非平衡系の中でも、レーザー電場で駆動されたディラック物質は、実験・理論の両面からの研究が可能であり、未知の非平衡現象を調べる上で理想的な系となっています。理論的にも、初等量子物理の知識のみで新しい現象を探索することができる一方で、量子異常やカイラル磁気効果など、高エネルギー物理学に由来した現象の非平衡状態への拡張につながるなど、深くそして広い研究が可能です。本講演では、円偏光レーザー電場照射下のディラック電子系で見られる現象として、フロッケ・ワイル半金属と、幾何学効果を伴うトンネル励起についてできるだけ初等的に説明します。
世話人:小布施秀明
(北海道大学大学院工学研究院応用物理学部門)


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