「超伝導空洞の理論とアクシオン・非線形QED探索」
植木 輝氏

Sep 20, 2023


日本物理学会北海道支部講演会

講演題目: 超伝導空洞の理論とアクシオン・非線形QED探索
講 師 : 植木 輝氏
      ルイジアナ州立大学
日時: 2023年8月28日(月) 16:00-17:00
場 所 : 北海道大学理学部 2-402
要 旨 :
ニオブ超伝導空洞は非常に高いQ値(Q 〜 1012)を持つマイクロ波共振器であり、当初考えられていた粒子加速器への応用のみならず、仮想電子・陽電子対を媒介とする光子・光子散乱やダークマター候補であるアクシオンとマイクロ波光子との相互作用、高周波重力波などの希少事象を捉えるための検出器として用いられることが期待されている。しかしながら、現在の高いQ値に至るメカニズムは完全には解明されていない。私たちは不純物効果を記述できる非平衡超伝導理論と、空洞に閉じ込められた電磁場に対するマクスウェル方程式を解くスレーターの方法を組み合わせて、Q値と空洞共振周波数シフトを計算する数値計算手法を開発した[1]。周波数シフトとQ値に関する私たちの結果は、FNALのSRFグループが報告した実験データ[2]と非常によく一致しており、GHz超伝導空洞の10 Hzオーダーの共振周波数の変化を定量的に説明することができた。このレベルの予測理論は、量子センシング・量子プロセッサー用デバイスの性能をさらに向上させるために不可欠である。
 近年、2つの共振周波数ω1およびω2の光子を同時にポンプされた超伝導空洞で、周波数ω3 = 2ω12の信号光子を測定することにより、QEDにおける光子・光子散乱とアクシオンを検出する方法が提案された[3]。超伝導空洞の検出器としての動作に不可欠なのは、マイスナー電流によって、3つの共振周波数を持つ空洞内の電磁場を閉じ込めることである。私たちはマイスナー電流における電磁場の関数としての非線形性[4]を利用して、アクシオン場の信号光子を分離する方法を示し、オイラーとハイゼンベルグの仮想電子・陽電子ペアによる光子・光子散乱の予測[5]の新しい検証を行う。


[1] H. Ueki, M. Zarea, and J. A. Sauls, arXiv:2207.14236.
[2] D. Bafia et al., arXiv:2103.10601.
[3] Z. Bogorad et al., Phys. Rev. Lett. 123, 021801 (2019).
[4] J. A. Sauls, Prog. Theor. Exp. Phys. 2022, 033I03 (2022).
[5] W. Heisenberg and H. Euler, Z. Phys. 98, 714 (1936).

世話人: 北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学大学院理学研究院物理学部門

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