日本物理学会北海道支部 講演会
講演会のアナウンスは支部会員のメーリングリストで行われます。 支部講演会・共催の講演会のお申し込みは、支部役員までご連絡下さい。
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最近5回分の講演リストを以下に表示します。
2024/05/20 "Metaphotonics and Mie-tronics"
Yuri Kivshar 氏
2024/05/08 「CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究」
神田 朋希 氏
2024/04/12 Can Bose-Einstein condensation occur via a first-order transition?
2024/01/16 「放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系化合物の研究」
田端 千紘 氏
2023/12/26 「FIB微細加工と三次元ベクトル強磁場を用いた物性研究」
木俣 基 氏
Yuri Kivshar 氏
2024/05/08 「CeCoSiの強磁場物性とその隠れた秩序相に関する研究」
神田 朋希 氏
2024/04/12 Can Bose-Einstein condensation occur via a first-order transition?
2024/01/16 「放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系化合物の研究」
田端 千紘 氏
2023/12/26 「FIB微細加工と三次元ベクトル強磁場を用いた物性研究」
木俣 基 氏
「Anilate-based multifunctional molecular materials」
Prof. Carlos J. Gomez Garcia
Aug 05, 2015
日本物理学会北海道支部講演会
講演題目: Anilate-based multifunctional molecular materials
講 師 : Prof. Carlos J. Gomez Garcia
Instituto de Ciencia Molecular (ICMol), Univ. de Valencia
日 時 : 平成27年8月5日 (水) 16:30-17:30
場 所 : 北海道大学理学部5号館202室(5-2-02)
要 旨 :
Anilate-type ligands ([C6O4X2]2- = dianion of the 3,6-disubstituted derivatives of 2,5 dihydroxy-1,4-benzoquinone, H4C6O4) are quite old ligands that have been used for many years to prepare many 0D, 1D, 2D and 3D homo-metallic compounds with different metal ions.[1] Very recently we started to use them to prepare hetero-metallic extended structures (1D, 2D and 3D)[2] showing ferrimagnetic long range ordering whose ordering temperatures could be tuned by simply changing the X group. Given the similarity of the anilato and oxalato ligands, we can anticipate that a vast field in now open with some advantages for the anilato ligand when compared with oxalato: (i) Anilato-type ligands can be modified by changing X, (ii) the hexagonal cavities are twice larger for anilato that for oxalato and (iii) the electronic features of these cavities can be tuned by changing X. Here we will show our recent results obtained using anilato-type ligands to prepare a plethora of molecular materials with different dimensionalities and properties.[3,4] [1] S. Kitagawa, S. Kawata, Coord. Chem. Rev. 2002, 224, 11-34. [2] M. Atzori, S. Benmansour, G. Minguez Espallargas, M. Clemente-Leon,A. Abherve, P. Gomez-Claramunt, E. Coronado, F. Artizzu, E. Sessini, P.Deplano, A. Serpe, M. L. Mercuri, C. J. Gomez Garcia, Inorg. Chem. 2013,52, 10031-10040. [3] S. Benmansour, E. Coronado, C. Gimenez-Saiz, C. J. Gomez-Garcia, C.Ro?er, Eur. J. Inorg. Chem. 2014, 3949-3959. [4] S. Benmansour, C. Valles-Garcia, P. Gomez-Claramunt, G. Minguez Espallargas, C. J. Gomez-Garcia, Inorg. Chem. 2015, 54, 5410-5418.
世話人 井原慶彦
(yihara@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)
「超伝導量子渦にかかる力」
加藤 雄介 氏
Jul 03, 2015
日本物理学会北海道支部講演会
講演題目: 超伝導量子渦にかかる力
講 師 : 加藤 雄介 博士
東京大学大学院総合文化研究科
日 時 : 平成27年7月3日 (金) 15:00-16:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館211室(2-2-11)
要 旨 :
渦のダイナミクスはさまざまな場面で特徴的な自然現象を引き起こす。春に日本に到来する爆弾低気圧、夏から秋にかけて襲来する台風や近年関東地方で多く出現するようになった竜巻など、気象学レベルの渦は地域に甚大な被害をもたらす。より小さなスケールでも、飛行物体の抗力、野球の投手が投げるカーブが曲がる理由、昆虫が羽ばたく際の揚力の獲得機構においても渦の生成が鍵となる。古典流体における難問として長年研究されている乱流の生成・発達にも渦の生成が関わっている。渦がどんな動きをするのかは、気象予報士やバッターだけでなく、超伝導の研究者や技術者にとっても重要な情報である。たとえば、超伝導にどれだけ大量の電流を流すことができるか、どれだけ強力な磁石となるか、量子計算機としてどれだけの性能が出るかは、すべて超伝導の量子渦の運動の様子によって決まっている。一方で超伝導の量子渦に働く力は未解決の問題が多い。その一つが「渦を駆動する力はローレンツ力かマグナス力か」という問題である。本コロキウムでは、時間に依存するギンツブルグランダウ理論に基づく、超伝導単一量子渦のフロー理論(Gor'krov-Kopnin 1973, Dorsey 1992)の計算を再検討し、ローレンツ力の寄与は無視できるほど小さく、駆動力は物質場の運動量テンソルに由来することを示す。マグナス力との関係や、渦糸格子状態にかかる力についても議論したい。本講演の内容はChung Chun-kit(東大理)との共同研究に基づくものである。
世話人 北 孝文
(kita@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)
「Pr1-2-20系における特異な輸送現象と相図」
井澤 公一 氏
Feb 20, 2015
日本物理学会北海道支部講演会
講演題目: Pr1-2-20系における特異な輸送現象と相図
講 師 : 井澤 公一 博士
東工大理・准教授
日 時 : 平成27年2月20日 (金) 16:30-18:00
場 所 : 北海道大学理学部5号館5-205室
要 旨 :
希土類化合物やアクチナイド化合物では,重い電子状態,メタ磁性,量子臨界点近傍における非フェルミ液体的挙動,非従来型超伝導などの 興味深い現象が発見され,これまで精力的に研究されてきた.これらの 現象の多くは,スピン自由度が重要な役割を果たし,いわゆるドニアック 描像に基づく議論により理解が進んできた.一方,スピンではなく, 四極子など高次の多極子が重要な役割を担っていると考えられる物質が 近年発見され,そのような自由度によりもたらされる特異な多体状態に 興味が持たれている.本講演では,電気四極子が活性であるPrT2X20 (T=Ir,Rh,Ti,V,Ta, X=Zn,Al)の輸送係数の結果を中心に紹介し,熱電係数 から見たこの系の電子状態を多極子と伝導電子の混成効果の観点から議論する.
世話人 網塚浩
(amiami@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)
「ペロブスカイト型酸化物薄膜の電気・光学的発光の創出と原理の探究」
高島 浩 氏
Nov 13, 2014
日本物理学会北海道支部講演会
講演題目: ペロブスカイト型酸化物薄膜の電気・光学的発光の創出と原理の探究
講 師 : 高島 浩 博士
産業技術総合研究所
日 時 : 平成26年11月13日 (木)
場 所 : 北海道大学理学部2号館211室(2-2-11)
要 旨 :
電気的・光学的発光現象に着目し、ペロブスカイト型酸化物薄膜を作製し発光現象の創出とその物理的機構の解明を行っている。本研究では、紫外線励起のフォトルミネセンス(PL)、電子線励起のカソードルミネセンス(CL)、交流電界発光のエレクトロルミネセンス(EL)で、顕著な発光を得ることに成功した。ELについては交流10Vで発光を開始し、電界に換算すると10000V/cmで発光が開始する。この結果は、従来の報告と比較すると1/100以下の電界で発光が開始することを示している。印加電圧に対する電流と発光の特性を評価し、発光現象の素過程を調べてみると従来の無機ELでは、発光体をコンデンサとした等価回路を用いてホットエレクトロンによる励起・発光過程で、その原理が説明できる。一方、本研究のペロブスカイト型酸化物薄膜では、印加電圧と電流が同相であることが実験的に示され、発光機構の素過程が抵抗成分に支配された発光現象であることが明らかとなった。講演では、発光の原理がホットエレクトロンではなくLEDである可能性について議論する。
世話人 武貞正樹
(mt@phys.sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)
「ガラス転移、ジャミング転移における剛性と降伏応力の発生」
吉野 元 氏
Nov 07, 2014
日本物理学会北海道支部講演会
講演題目: ガラス転移、ジャミング転移における剛性と降伏応力の発生
講 師 : 吉野 元 氏
大阪大学サイバーメディアセンター 准教授
日 時 : 平成26年11月7日 (金) 16:30-18:00
場 所 : 北海道大学理学部2号館211室(2-2-11)
要 旨 :
「水は方円の器にしたがう」が、固体はそうはいかない。容器の中身が「固体」であるかそうでないかを判別するには、容器の体積を変えずに「形」だけ変える操作、すなわち剪断(シア)を掛れば良い。理想気体ですら、体積変化に対する弾性(体積弾性率)を有限に持つ。しかしシアモジュラス(剛性率)を有限に持つのは固体だけである。ガラスに対する第一原理的なアプローチとして、クローン液体論と呼ばれる方法が最近急速に発展している。これは、ランダム系の統計力学で発展したレプリカ法と、伝統的な液体の密度汎関数理論を融合させた理論である。特に最近、無限大次元で厳密な平均場理論が定式化され、通常のガラス転移に伴う1段階のレプリカ対称性の破れに留まらず、ジャミング転移点近傍においては連続的なレプリカ対称性の破れが上乗せされて起こることが明らかになった。[1] 我々は、このクローン液体論を用いて、ガラス転移、ジャミング転移で系が獲得する剛性率、また降伏応力を、第一原理的に解析する手法を開発してきた。[2,3,4,5] レプリカ法を用いると、液体をひねってガラスの硬さを求めるという一見非常に奇妙な事が出来る。[6] 興味深いことに、レプリカ対称性の破れ[1]を反映して、剛性率にも時間スケールに応じたある種の階層構造が予想される。セミナーでは、この結果に基づき、高濃度エマルジョン系でのレオロジー測定[7]、数値シミュレーションによる応力緩和の測定[8]の結果との比較についても議論する。 [1] P. Charbonneau, J. Kurchan, G. Parisi, P. Urbani, F. Zamponi,Nature Communications 5, 3725 (2014). [2] H. Yoshino and M. Mezard, Phys. Rev. Lett. 105, 015504 (2010). [3] Y. Yoshino, J. Chem. Phys. 136, 214108 (2012) . [4] H. Yoshino and F. Zamponi, Phys. Rev. E 90, 022302 (2014). [5] C. Rainone, P. Urbani, H. Yoshino and F. Zamponi, submitted. [6] 日本物理学会誌67号10巻p699(2012) 最近の研究から「ガラスの硬さを計るレプリカ理論」 [7] G. Mason, Martin-D Lacasse, Gary Grest, Dov Levine, J Bibette, D Weitz, Phys. Rev. E 56, 3150 (1997). [8] T. Nakayama, S. Okamura and H. Yoshino, in progress.
世話人 野嵜龍介
(nozaki@sci.hokudai.ac.jp)
北海道大学理学部物理学科 (電話011-706-3484)