講演題目: α-Mnの高圧物性
講師: 小林達生 氏 (岡山大学理学部)
日時: 2021年12月23日(木) 15:00-16:00
場所: 北海道大学理学部5号館3-04
要旨:
単体金属は一般に単純な結晶構造(bcc, hcp もしくはfcc)をもつ場合が多いが,Mnの常圧・室温における安定相であるα相はunit cellに29個の原子を含む複雑なbcc構造(I-43m)である。Mn原子は結晶学的に異なる4つのサイトからなり,TN = 95 K以下で反強磁性秩序を示す。当研究グループでは,最近,二つの磁気秩序相からなる特徴的な圧力-温度相図を決定した。[1] 圧力誘起磁気秩序相(P > 1.4 GPa)では,小さい自発磁化(~0.02 µB/Mn)が発生しており,それに伴う大きな異常ホール効果を発見した。[2] 今年,高圧下中性子散乱実験を行い,圧力誘起弱強磁性相が強磁性と同じ既約表現をもつ秩序状態であることが明らかになり,ベリー曲率による異常ホール効果であることを強く支持する。弱強磁性相は4.2 GPa で急激に消失するが,そこでは電気抵抗は50 mK < T < 10 Kの広い温度範囲でT5/3 に従い,量子臨界性を示している。これは強磁性ゆらぎを考えたSCR理論で予測された非フェルミ液体的振舞いであり,反強磁性相互作用が支配的と考えられる系で現れていることが興味深い。ダイヤモンドアンビルセルを用いた電気抵抗測定による,超高圧下での超伝導探索についても紹介する。
References
[1] T. Sato et al., JPS Conf. Proc. 30, 011030 (2020)
[2] K. Akiba et al., Phys. Rev. Research 2, 043090 (2020)
世話人:日高宏之
(北海道大学大学院理学研究院物理学部門)
